イヌとノロウィルス感染症

先日聴講した講演で、興味深い話題がありましたので御紹介します。

今年は、2006年に次ぐノロウィルスの大流行が問題になっていますが、それはヒトの話です。

今回御紹介するのは、犬のノロウィルス感染症のお話です。

ノロウィルスは5つの遺伝子グループに分類されており、GIがヒト、GIIがヒトおよびブタ、GIIIがウシ、GIVがヒトおよびイヌ、GVがマウスの消化管内で増殖します。

人間社会で現在大流行して問題となっているのはGIIのウィルスです。



ひとつめの話題は、ノロウィルスは人畜共通感染症か?というお話です。

ノロウィルスは、従来、ヒトからイヌへ、あるいはイヌからヒトへののような異種間での感染は起きないと言われていましたが、今年の3月のJournal of Clinical Virologyに、ペット犬の便からヒト型ノロウィルスが検出され、それらノロウィルス陽性のイヌの一部には軽度の胃腸炎症状がみられたと報告し、ヒトからイヌへの異種間ノロウィルス感染を示唆しました。

一般的には、このような異種間の感染よりは、ヒトからヒト、イヌからイヌなど同種間の感染が圧倒的に多いため、注意すべきは同種間での感染といえますが、実際にどうなのかを調べた初めての研究結果ですので、御紹介しました。



ふたつめの話題は、イヌのノロウィルス感染症の実態についてです。

米国CDCの『Novel Norovirus in Dogs with Diarrhea』で、

105件のペットショップおよび動物病院のイヌの糞便105検体を検査した結果、

下痢をしていた63例のイヌの糞便の40%からノロウィルスが検出

下痢をしていない42例のイヌの糞便の9%からノロウィルスが検出


すなわち、下痢をしているイヌの半分近くは糞便中にノロウィルスを排出しているので、たかが下痢と思わず、他のイヌに感染さないように注意が必要とのことでした。

他のイヌに感染さないようにするには、イヌが集まるところに連れて行かない、下痢便を放置しないということで十分だそうですが、多頭飼いの家庭で1頭に発症した場合にはどうすればいいかについては先生は触れませんでした。

そこで自分で調べてみましたが・・・。

ノロウイルスの感染経路は、感染症情報センターによると、ヒトの場合、

1. 便や吐物に接触した手を介する感染(接触感染)

2. ノロウイルスに汚染された食品を介する感染

3.(A)吐物や下痢便の処理や、勢いよく嘔吐した人のごく近くに居た際に、嘔吐行為あるいは嘔吐物から舞い上がる「飛沫」を間近で吸入し、経食道的に嚥下して消化管へ至る感染経路(飛沫感染)

3.(B)吐物や下痢便の処理が適切に行なわれなかったために残存したウイルスを含む小粒子が、掃除などの物理的刺激により空気中に舞い上がり、それを間近とは限らない場所で吸入し、経食道的に嚥下して消化管へ至る感染経路(空気感染の一種)

であるため、これらの感染経路を断つ管理が要求されることになりますが、これらを徹底的にやるのは人間でも結構大変じゃないかと思います。

消毒はアルコールが効かないため(パルボウィルスと同じく)、消毒は次亜塩素酸ナトリウム(塩素系消毒剤:商品名ミルトン、ピューラックスなど、塩素系漂白剤:商品名ハイター、ブリーチなど)でなければ十分な消毒効果が得られませんし。

家庭に持ち込まない、というのが一番なのでしょうが、具体的には、流行シーズンには大勢犬が集まるところに連れていかないとか、放置糞が多い道は通らないとか、そのくらいしかないのでしょうかね。



参考資料;

国立感染症研究所: ノロウィルス感染症

感染症情報センター: ノロウィルス感染症

米国CDC: Novel Norovirus in Dogs with Diarrhea

Journal of Clinical Virology, Volume 53, Issue 3 , Pages 244-247, March 2012



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